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中野高行《 古代日本の国家形成と東部ユーラシア〈交通〉》出版

中古史
2024-09-15

古代日本の国家形成と東部ユーラシア〈交通〉

中野高行著
本体9,000円+税
初版発行:2023年12月15日
A5判・上製・カバー装・392頁
ISBN 978-4-8406-2269-1 C3021


東部ユーラシアにおける〈交通〉のなかで日本の古代国家はいかに形成されたのか
継体天皇の即位、白村江の戦い、高麗郡建郡、遣唐使の派遣、渤海との外交など重要な事例を〈交通〉の視点から再検証し、日本古代国家の形成史を描く
諸国とのネットワーク形成と国家成立の関係を解明!

【内容説明】〈交通〉の機能を、①政治・軍事的機能(戦争や外交をふくむ対外諸関係/交通網)、②経済的機能(生産/土地利用の機能分化/流通・交換・商業/分業)、③思想・社会的機能(自然界に対する人間界優位の確立/社会の緊密化)、④精神的機能(慣習/文字/仏教/法/儒学/礼)に整理し、諸国とのネットワークの形成と国家成立の関係を描く。
 ①政治・軍事的機能(戦争や外交をふくむ対外諸関係/交通網)
  第一章で五・六世紀における東アジア世界の戦争と外交の実像を、第五章で七世紀後半の「唐・新羅戦争」前後における新羅と倭国の国制改革について考察。
 ②経済的機能(生産/土地利用の機能分化/流通・交換・商業/分業)
 第二章・第三章で西日本に構築された交易ネットワークについて、継体天皇の史的意義とあわせて詳述。
 ③思想・社会的機能(自然界に対する人間界優位の確立/社会の緊密化)
 第六章で八世紀前半の律令制国家が設置した高麗郡の様態について検討。
 ④精神的機能(慣習/文字/仏教/法/儒学/礼)
 付論1で律令制国家の胎動期における渡来系移住民(渡来人・帰化人)の諸相を整理・分析。第四章では天智朝における天皇発願寺院の創建と正史の関係を探る。付論2では『令集解』に見える明法家諸説に関する研究史を整理し、律令制国家の始動期から活躍した法律の専門家たちの史的意義と、律令受容の実相を概観。第八章では渤海国王宛慰労詔書に記された〈斗牛〉という語句の思想的背景を追求した。付論3では高校における朝鮮史教育の展望を検討する中で、ユーラシア大陸東部の交易ネットワークという視座がどのように取り扱われているのかを確認。

【目  次】

序 章 問題の所在
 一 古代国家形成と〈交通〉/二 石母田正の「交通」/三 妹尾達彦氏のグローバル・ヒストリー/四 ブローデル/五 本書の構成
第一章 五・六世紀の国際関係像
 一 分析の対象・内容と視点/二 五世紀に相当する『日本書紀』の外交記事①—朝鮮側の史料との比較—/三 五世紀に相当する『日本書紀』の外交記事②—『百済記』について—/四 六世紀に相当する『日本書紀』の外交記事—「任那日本府」を中心に—/五『古事記』の外交記事/六 結 語
付論1 渡来系移住民—普遍的価値・技術を担った人々—
 一 帰化人と渡来人/二 五世紀の渡来系移住民/三 六世紀の渡来系移住民/四 七世紀の渡来系移住民/五 八・九世紀の渡来系移住民
第二章 継体天皇と琵琶湖—淀川水系
 問題の所在/一 継体天皇関連遺跡/二 継体天皇の血縁関係—近江息長氏を中心に—/三 継体天皇の三宮と淀川水系の港津/四 琵琶湖—淀川水系流域の諸氏族/結 語
第三章 日本海沿岸諸地域と新羅・加耶
 問題の所在/一 古代日朝をめぐる伝説/二 古代日本海域の交易の実相/結 語—ヤマト王権との関係—
第四章 天智朝創建寺院と正史
 問題の所在/一 朱鳥元年の「五寺」と大宝年間「四大寺」の創建記事/二 天智朝の寺院建設記事の特徴/三 法隆寺西院伽藍の創建と上宮王家所有の名代/四 舒明—天智系寺院の伽藍配置/結 語
第五章 唐・新羅戦争前後の新羅と倭国
 問題の所在/一「白村江の戦い」前後の倭国/二 百済滅亡後の新羅/三「唐・新羅戦争」後の新羅/四「白村江の戦い」後の倭国/結 語
第六章 高麗郡建郡の背景
 問題の所在/一 高麗郡関係史料と高麗王若光/二 建郡前後の高麗郡—考古学的視点から—/三 高麗郡建郡と新羅郡建郡/四 高麗郡・新羅郡の建郡と武蔵守・入間郡領/五 朝鮮系三郡と仏教/結 語—高麗郡建郡の史的意義—
付論2 『令集解』の注釈書
 一 問題の所在/二『古記』について/三『令釈』について/四『跡記』について/五『穴記』について/六『讃記』について/七『朱記』について/八『令集解』注釈書をめぐる論争の特徴と今後の課題
第七章 承和度遣唐使発遣と遣新羅使紀三津
 問題の所在/一 承和度の遣唐使出国までの経緯—小野篁と紀三津を中心に—/二 遣新羅使紀三津の帰朝記事/三 執事省牒の諸問題/四 小野篁と『続日本後紀』編者の春澄善縄の関係/結 語
第八章 渤海国王宛慰労詔書の〈斗牛〉
 問題の所在/一〈斗牛〉についての辞典類の説明/二「北斗七星」「牽牛星」「斗宿」「牛宿」/三「禰軍墓誌」の「牛斗」の検討/四 蘇軾「前赤壁賦」に対する解釈/結 語
付論3 高校における朝鮮史教育の展望—前近代を中心に—
 一 問題の所在/二 新学習指導要領における歴史系科目/三 朝鮮史教育の可能性/四 朝鮮史研究と朝鮮史教育/五 教育現場のトレンド/六 総括と若干の補足
終 章 総 括
 一 問題の所在/二 各章の結論と課題/三 日本古代の都城と王都(ミヤコ)
あとがき
索  引


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